東西の庭と上階の北庭をつなげる

愛媛県松山市の北部エリアに建つ住宅。この街の北方向が瀬戸内海に接しており南北に風が通る。敷地は新たに区画された住宅地であるが、南隣は大きな物流会社となり、常に大型車両が出入りしていることから南側に開くことができない。そのため、南を採光の主体としない他方位からの光と風を通す計画が必要であった。
敷地は一区画にゆとりがあるため、北側に駐車スペースを配置しても東西それぞれに庭を配置することができた。この東西の庭は敷地の南側に寄せており、二つの庭に挟まれるようにヴォリュームを配置する。これにより南側は外壁を立てて視線を調整ながらも、東西の庭を介して南からの光と空気を取り込むことができた。さらに２階に設けた北庭を吹抜と繋げることによって上下方向に空気を通している。北庭は外壁によって囲まれることで、南からの直射光を反射させて穏やかな光を内部に届け、内部仕上げも同様に光の回り込みを助長させるために白の質感を選択し、一日を通して安定した光を空間に届けている。