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About The Project
松山南の家
折れ曲がる緑化屋根が環境をつなぐ
松山市郊外の田園風景が広がる環境に建つ住宅。気候は典型的な瀬戸内海式気候で暖かく、遠景は美しい山並みが広がり、それぞれ敷地が広いため適度な距離が保たれている。建替え前の母屋は縁側のある日本家屋で、家族や近隣の人々との営みが溢れていた。母屋と同じ平屋で既存の南庭を可能な限り残し、この庭を眺めながら生活したいという建主の要望は、敷地と周辺環境の豊かなつながりを継承したいという想いが込められている。
南庭を確保して敷地に諸条件を当てはめると、余白のない大きな容積となり、南側に配置した諸室は十分な採光が得られるが、北側の諸室は採光がほとんど確保できない。コートハウスのような中庭をつくるための奥行きも確保できない状況である。そこで、大きな表面積となった屋根に切れ込みを入れて、勾配とは逆方向に折り曲げることでスリットをつくり、北側諸室に南からの採光を取り込んだ。北側諸室は折り曲げた屋根を見ながら生活することになるため、屋根勾配に合わせてひな壇状に植栽することにより、2つ目の南庭(ルーフガーデン)として変換している。北側は寝室、和室、水回りと並び、個室として領域は分けながらこの庭を通してゆるやかにつながった。構造はコンクリート造と木造の混構造を採用している。南庭に対する大きな開口部分、屋根緑化による防水性能を考慮した部分にコンクリート造を選択し、それ以外を木造とした。また水平力をコンクリート部分で負担することで、南側開口部と木造部分に耐力壁がほとんど不要となり、LDKの広がりを実現させている。
南庭と周辺環境の文脈を継承するために、限られた敷地でどのように豊かさをつくりだすかを主題に置き、結果として生まれた開かれた南庭と守られた南庭、また活動と鑑賞といった対比が明確な庭たちが、時間の経過とともに多様なつながりを生み出すことを期待している。
Date. | 2013.06 |
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Principal use. | 住宅 |
Location. | 愛媛県松山市 |
Structure. | コンクリート造+木造 |
Site area. | 320.18㎡ |
Total floor area. | 183.82㎡ |
Photo. | 矢野 紀行 |
Structural design | ジムネ構造空間研究所 皆川 宗浩 |
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Landscape | NIWATAN 橋本 善次郎 |
Furniture | 宮崎椅子製作所 |
小松事務所オリジナル(sofa,table) | |
Kitchen | 小松事務所オリジナル |
Construction | 日吉産業 |
Press | ENGINE 2020年1月号 ディテール No.221号 JA102 SUMMER 新建築住宅特集 2016年3月号 Designlines Mark web domus web |
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