パークサイドホテル
広島市の中心市街地に位置し、平和記念公園からも程近い場所に建つ老舗ホテルのエントランス改修です。建物は前面道路から下がった位置に配置され、エントランスアプローチのみ道路に面しているため、ホテルの存在としては控えめな印象でしたが、道路際まで主張して建つビル群と比べて佇まいは好印象でした。 クライアントはこれからの時代を見据えて都市型ホテルとしての誘目性に加えて、省エネルギー性を要望とされました。 現状のホテルは、既存の石壁および石床の質感が経年変化を経て艶やかに残っています。そこで、この石壁と石床の乱貼りを新規エントランスの屋根架構に反映させることで、新旧のデザインを継承させることにしました。また、エントランス上部は客室ではなく空(そら)であることから、次のような照明計画としています。
[朝〜日中]屋根架構の上部を透過性の高い材料とすることで、エントランスに自然光を取り入れ、さらに天井が適切な日射調整として機能し、木漏れ日の中を歩くような雰囲気を演出。照明を必要としないことが省エネルギーにつながります。
[夕方]屋根架構の中にシームレスなLED照明を配置して、エントランスの内部方向に視線が流れるように演出。さらに、この継ぎ目のない照明が都会的な品格を生み出しています。今後の計画として、ロビーも同様にシームレスな照明を配置することで内外の連続性をつくりだす予定です。
[夜間]シームレスな照明をランダムなラインとして点在させることによって照度を抑えています。