中庭の求心性と連続性

山口県下松市の住宅地に建つ計画。敷地が広く隣地との接地距離が長いため、多くの住宅によって囲まれ、多方向からの視線が交錯していた。前面道路は交通量の少ない静かな道路であるが、近隣の幹線道路からの騒音が絶えず響いている。この音環境と合わせて、守られた住環境をつくることが主題となった。
敷地から判断すると十分な広さの中庭をつくることができる。守られた外環境をつくるために１階をロの字型、２階をコの字型とし、中庭を中心に据えた平面計画とした。東方向に配置したルーバーを介して外部からの風を取り込み、諸室は中庭に向けて開放することで外周部の開口へと風が通り抜ける。また中庭に圧迫感を与えないような床面積と建物高さを検討し、２Fにバルコニーを連続させることで、中庭との上下階の一体的な繋がりをつくり、空への開放性も実現させている。
諸室が多いからこそ中庭に視線を向けることで、家族の気配と繋がりを感じることができる。中庭の要素である求心性と連続性が、この住宅では暮らしを豊かにするのではと考えている。