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About The Project
帝塚山の家
風道を生み出す南北の庭
大阪市の閑静な住宅地に建つ住宅である。敷地は大きな区画が次々と細分化されていく中で、最後の一区画であった。道路側から見ると閉塞的な印象を持つ敷地は、反転すると東方向は低層住宅が建ち並ぶ。この住宅が密集した敷地において、緑に溢れ、光と風を体感できる空間を目指した。
このたびの敷地であれば南側にゆとりある庭を配置できるが、ヴォリュームを建物に囲まれた北側に押し込むことになる。敷地に風道を生み出すためには敷地に余白をつくる必要があるため、北に「光庭」を配置し諸室に光を取り込む計画とした。この光庭は季節によって隣地の隙間から光が入るが、一日のほとんどが日陰となる。しかし隣地の外壁に当たる直射光を間接光として利用し、北庭の植栽および内部の諸室に穏やかな光を取り込むことで、光庭としての機能を満たすこととした。
南道路側は「外皮を持つ吹抜けテラス」を2階と3階に配置した。外部からの視線を遮り日射量を調整するブリーズソレイユとして東方向に傾けることで、視線の開放性を確保しながら他方位からの視線を緩やかに遮り、西からの直射光を調整する。テラス上部は垂直に連続するブリーズソレイユをそのまま水平方向にも連続させることで、夏季の高い高度からの直射光を遮りながら光の屈折による柔らかな光を届け、空の移ろいも感じることができる。さらにその隙間に配置した植栽がそよぐことで、風が視覚化され涼感を感じることができ、通りを歩く人々は閉ざされていた外皮が徐々に開き、緑溢れる様子を望むことができる。この性格の異なる庭を南北に配置することにより、閉塞的な敷地であったことを忘れるほどの、光と風が行き交う豊かな住環境が生み出せた。
この住宅地はもともと区画にゆとりがある緑化率の高い地域であり、相対的には多くの緑が残っているが今後も細分化が進んでいくことが予想できる。この街と住環境のためにも敷地内に余白をつくり、緑溢れる風景を継承してほしい。この住宅はその応えの一つとなったのではと考えている。
Date. | 2022.12 |
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Principal use. | 住宅 |
Location. | 大阪府大阪市 |
Structure. | 鉄骨造+木造 3階建て |
Site area. | 132.69㎡ |
Total floor area. | 182.31㎡ |
Photo. | 矢野 紀行 |
Assistant | 蝶野 慎明 |
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Construction | 西林工務店 |
Structural design | 堀江建築設計事務所 |
Landscape | Green space |
Kitchen | 松岡製作所 |
Furniture | Time&Style |