角を切り取ることで生まれる循環と借景

松山市の南西方向は住宅と田園が混在する地域が多く、このたびの敷地も西方向に豊かな田園風景が広がる。その他の三方は住宅などが密集していることから、必然的にこの方角に住まいの視線を向けることになった。
まずスクエアなヴォリュームを素直に立ち上げ、景色の広がる西方向の角を斜めに切り取る。切り取った壁を大きな開口部とすることで風景を内部に引き込み、その前面には地面から持ち上げた中庭を配置することで、道路からの視線と夏季の西からの直射光を調整する。さらに前景(中庭)と遠景(田園)が重なることにより豊かな借景をつくりだした。玄関と２階バルコニーが配置された東方向も同様に斜めに切り取り、そこに開口部を配置することで東西に風の循環を促し、２階の西方向もバルコニーを配置することで１階同様に東西に風を通す計画とした。スクエアなヴォリュームは結果として六角形のジオメトリとなり、切り取られた切断面がこの住宅の光と風、そして借景を居住環境に取り込んでいる。