インタラクティブな関係をつくる谷空間

山口県の宇部市内に計画した店舗併用住宅。敷地は宇部市内を走る幹線道路沿いであり様々な用途の建築が建ち並ぶため、必然的にこの南西側の道路沿いに店舗棟、住宅が建ち並ぶ北東側に住居棟を配置することが決定された。
店舗と住宅の双方にとって良い環境をつくりだすためには、それぞれの棟を寄せて並べるのではなく、店舗と住宅の間となる中間領域が互いを豊かにするのではと考えた。具体的には2棟の間に谷間となる窪みをつくり、そこが店舗にとっては北東側からの採光と南西側からの通風を通すための光庭となり、住宅にとっては２階のリビングから連続するテラスとなる。さらに店舗棟の天井高さを上げることで、道路側からの視線を緩やかに調整している。テラスからは地窓越しに店舗内の様子も伺え、店舗からはテラスの植栽を見ることができる。この窪みによって光、風、視線のインタラクティブな関係性が生まれ、それぞれの空間に心地よい距離感をつくりだしている。