都市に開きながら暮らす

広島市の中心部に位置する敷地に住宅を建替える計画。前面道路は広く街路樹が並ぶゆとりのある道路であるが、時間帯によっては交通量と人通りが多い場所でとなる。また敷地周辺は住宅や集合住宅で囲まれた状況であった。
道路からの目線を遮りながら街路樹の緑と空を取り込み、都市でありながら開放的な暮らしを実現するために、生活の主体となる２階リビングに掃き出しサッシの大きな開口部を設け、この開口部を床から持ち上げるという単純な操作を提案した。大きな開口部からは光と風、緑と空を取り込むことができ、道路からの視線を遮りながら心地よい環境を室内に取り込んでいる。開口部の前には外部用花壇をつくり、内部からの景色に彩りをつくるだけでなく、外観は１階から３階までを立体的に植栽が繋でることで、街並みとの連続性をつくりだしている。建物は２階建と３階建の構成を長手方向に並列させ、２階建部分のリビングの開口部を持ち上げ、天井の高さも上げることで空間に広がりと抑揚をつけた。都市に暮らすことは、小さな開口部を組み合わせた建築が建つ傾向にある中で、この住宅は開口部の配置や高さや奥行きを丁寧に整理することで、都市でありながら開放的な暮らしが実現できたのではと考えている。